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遺留分の請求を拒否されたときの対処法~正しい計算方法や法的措置など~
一定の相続人には遺留分があり、遺贈等により多くの財産をもらい受けた方に対して金銭の請求を行うことができます。
しかし、直接支払いを求めても相手方が応じてくれないこともあります。
このときどう対応すればいいのか、確認すべき事項や手続きの流れを説明します。
請求内容が適切かチェック
先に確認しておきたいのが「自分の主張内容は正当か」「求めている金額の計算は正しいか」といった点です。
遺留分の計算は簡単ではありません。
金額を過大に見積もっている可能性もありますので、法的措置を検討する前に一度請求内容が適切であることをチェックしましょう。
特に注意が必要なのは、遺留分を主張する方が以前受けた贈与についてです。
過去に被相続人から多額の援助や贈与(特別受益)を受けていた場合、その分が差し引かれて遺留分がゼロまたは少額になることもあります。
計算に自信がなければ弁護士に見直してもらうこともご検討ください。
時効消滅していないかチェック
遺留分侵害額請求は、相手方に意思表示を行うだけで実行できます。
行政や裁判所での手続きは必要ありませんし、遺留分侵害額を支払ってほしい旨伝えるだけで権利の行使となります。
ただし、遺留分侵害額請求権は「遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った時から1年」という消滅時効にかかり、さらに「相続開始から10年」という除斥期間(延長も停止もできない絶対的な期限)も適用されます。
そこで基本的に相続が開始されてから1年以内に対応することを意識しなければならず、遺留分侵害の事実を知りながらこの期間何もアクションを起こさなければその後権利は消滅してしまいます。
なお、意思表示の方法は口頭でも有効とされますが、配達証明付きの内容証明郵便を使うなど請求の事実を証拠として残せる形で対応すべきです。
相手が断る理由によって対応が変わる
請求を拒否される理由はさまざまで、その内容によって次の対応が変わってきます。
- 計算の根拠や金額に異議がある
・・・不動産など評価が難しい財産が含まれる場合に起きやすい。評価方法の違いが争点になることも多い。 - すでに特別受益を受けたと主張している
・・・過去に受けた贈与や援助を遺留分の計算に算入するよう主張してくるケース - 現金がなく支払えない
・・・遺産として不動産しか受け取っておらず、資力がないと主張するケース - 法的根拠を理解していない
・・・法的知識が不足しており支払い義務があることを理解できていない
交渉で対応できる余地がありますが、強固な態度をとっているときは法的手続きへの移行も検討します。
ただ、弁護士が間に入り交渉を行うことで法的に支払う必要のある金銭であると理解し素直に対応してくれるケースもありますので、弁護士への依頼も視野に入れることをおすすめします。
裁判所で調停の申し立て
意思表示の後も相手が応じない場合、次の段階として「家庭裁判所への調停申し立て」を検討しましょう。
※相手方の住所地を管轄する家裁へ申し立てる。費用は収入印紙1,200円分と裁判所が定める額の郵便切手代であり、手続き自体に大きなコストがかかるものではない。
調停では、調停委員が双方の言い分を聞きながら話し合いを進めます。
合意が成立すれば調停調書が作成され、確定判決と同じ効力を持ちますので、もし相手が支払いを怠ったとしても強制執行の申し立てが可能になります。
調停が不成立になったらどうする?
調停で話がまとまらなければ、地方裁判所(請求額が140万円以下の場合は簡易裁判所)への訴訟提起に進みます。
遺留分侵害額請求の訴訟は家庭裁判所ではありません。
※管轄は相手方の住所地だけでなく請求者の住所地の裁判所でも認められる。
訴訟では双方の主張と証拠をもとに裁判所が判断を下し、判決で相手に支払いが命じられます。
判決後も支払いがないときは、調停調書が作成された場合同様に、強制執行という手段が利用可能です。
まとめ
遺留分の請求を断られてもすぐに諦める必要はありません。
ただし、消滅時効の問題がありますし、対応を先送りするほど選択肢が狭まるため状況の確認は早期に行うことが大切です。
以下の点を意識しながら対応を進めていきましょう。
- 請求額の計算が正確かどうかを確認する
- 相手の拒否の理由を整理し、交渉の余地を検討する
- 配達証明付き内容証明郵便で意思表示を行い、消滅時効が完成することは避ける
- 支払いに応じてくれないときは家裁の調停も検討
- 調停が成立しなければ地裁への訴訟提起へ
正確な計算、各手続きでの的確な判断には専門的な知識が求められます。
遺留分について不満や疑問点がある方は弁護士に相談しながら対処していくことをおすすめします。