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共有名義の不動産を単独名義にする方法とは?注意点も解説
不動産を複数人の共有名義としているままだと、売却や建て替えなど重要な決定を行う度に共有者全員の同意が必要となります。そのため意見の対立が生じ、適切な管理運用に支障をきたすケースも少なくありません。
一方で、共有状態から単独名義に変更してこれらの問題を解決することは可能です。「すでに共有不動産の扱いで困っている」「今後トラブルになる前に対処しておきたい」という方は、当記事で紹介する単独名義にする方法をチェックしていただければと思います。
単独名義にする方法
共有名義の不動産を単独名義へと変える方法として、主に以下4つの手法が挙げられます。
- 持分の売却
- 持分の贈与
- 持分の放棄
- 分割の請求
それぞれの特徴を見ていきましょう
持分の売却
共有者間での持分売買することも可能です。共有者の一方が他方の持分を買い取れば、単独名義となります。
買い取る側は資金を用意する必要がありますが、不動産全体を単独で処分できるようになり、その後さらに売却したりその他有効活用したりするのも自由になります。また、売却側にも現金を取得できるというメリットがあります。
ただし売却価格が争点となり揉める可能性もありますので、不動産鑑定士に適正価格を査定してもらうなど、プロに見てもらうことをおすすめします。
持分の贈与
売却ではなく、贈与によって持分を移転することもできます。対価を求めずに持分を譲渡する方法です。
親子間や夫婦間での相続対策として行われることもあり、この方法であれば他方がまとまった資金を用意する必要がありません。
ただし、贈与を受ける側に贈与税が課される可能性がある点には注意しましょう。贈与対象の物件の評価額が110万円を超える場合、贈与税が課税され、申告と納税の手続きが必要となります。
なお、「相続時精算課税」を選択していれば贈与税の課税を2,500万円まで回避し、その分を相続時に精算することも可能です。婚姻期間20年以上の夫婦については配偶者控除によって2,000万円まで非課税で贈与できる仕組みもありますし、贈与税の特例も上手く利用することもご検討ください。
持分の放棄
共有持分を放棄することもできます。そして放棄された持分はほかの共有者へと自動的に移転します。
(持分の放棄及び共有者の死亡)
第二百五十五条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
引用:e-Gov法令検索 民法第255条
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
たとえば3人で1/3ずつの持分を有しているおり、1人が放棄したとすれば、残る2人が1/6ずつを取得することになります。
なお、持分放棄を受けて持分を取得したほかの共有者については贈与を受けたものとみなされ、贈与税が課されることもありますのでご注意ください。
分割の請求
共有物分割請求は各共有者に認められた権利で、単独名義とするために共有者の1人はその他の共有者に対し分割について協議を持ちかけることができます。
(共有物の分割請求)
第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
引用:e-Gov法令検索 民法第256条第1項
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
分割の方法としては、対象物件を物理的に分割する方法(現物分割)、1人が取得してほかの共有者に代償金を支払う方法(代償分割)、対象物件を売却してその代金を分け合う方法(換価分割)などがあります。
なお、共有者間で協議が調わないときは家庭裁判所に調停を申し立てることも可能ですし、共有物分割についての訴訟を提起して結論を出してもらうことも可能です。
共有名義のまま不動産を所有するリスク
共有名義のまま不動産を所有する場合、さまざまな制約を受けることとなります。各共有者は自己の持分については自由に使用できるものの、一定の行為については共有者全員の同意が法律上求められているためです。
たとえば不動産全体の売却や抵当権の設定、大規模な改修、増築、建て替え、取り壊しなどを共有者1人の独断で実行することはできません。このような行為が当該不動産の資産価値を上げたり維持したりするために有効で、より効果的な運用のために良い行為だとしても、全員の意見が揃わないと実施できないのです。
さらに、共有者の一部について相続が発生するとこれらの問題はより複雑化します。亡くなった共有者の持分は相続人へと引き継がれ、相続人が複数存在すると共有者の数もその分膨らんでいくためです。
単独名義にするときの注意点
共有名義から単独名義へ変更することで上記のリスクは回避できます。ただし、単独名義とする際は以下の点にご注意ください。
- 税金が課される可能性
・・・持分の売買では適正価格での取引が求められ、市場価格より著しく安い価格での売却は贈与とみなされて贈与税が課される可能性がある。贈与や放棄においても同様。また、登録免許税や不動産取得税にも注意。 - 共有者全員の同意を得ること
・・・全員による合意の意思表示が必須。一人でも反対する共有者がいる中無理やり単独名義とすることはできない。 - 紛争予防のため書面を作成すること
・・・名義変更に際して後日トラブルが起こらないよう、予防策として名義変更の経緯や条件、そして合意が得られたという事実を書面化しておくことが重要。家族間であっても将来的に揉める危険性はあるため、必ず記録を残しておく。 - 資金調達の検討
・・・売買により単独名義とする場合は、持分を買い取る資金が必要となる。借り入れを要する場合は、事前に融資条件や金利についても確認しておく。
まとめ
共有名義から単独名義への変更は、不動産の有効活用と将来のトラブルを防止するために有効な手段といえます。
ただし税務面への影響や法的紛争のリスクには配慮が必要で、安全かつ効率的に手続きを進めるため専門家にアドバイスを求めましょう。
また、共有者間の人間関係も結果に影響してくる可能性があります。
普段からコミュニケーションを取っておき、良好な関係性を意識的に作っておくと、名義変更も円滑に進めやすくなるでしょう。